「ん?」と一瞬戸惑ったものの、お得意の鈍感力を木島は発揮し、女性たちとの会話に身を委ねた。時間も遅くなり次々に常連が入店してくると、「それじゃ、楽しんでいってね」という言葉と共に姫湖ママが席を外した。

山崎ハイボールの杯を重ね、一次会の緊張もあって少し重めの酔いを感じていた木島であったが、ママが席を外すと遥香がいきなり

「木島さんって私のタイプ・・・・ 店の後にアフター付き合ってもらえないかしら・・・」

「お会計ですが、8万3千円となります。カードですか? 現金ですか?」

どう見てもボラれている値段なのだが、遥香とのアフターを前に興奮冷めやらぬ木島にはもはや正常な判断力はなく、リボ払いで支払いを済ませて、遥香指定の「トミジャズ」というバーに足を向けると

「夜分遅くにすみません。ちょっとお伺いしたいことがあるのですが・・・」

と中年と若年の二人組が現れた。

 

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「え、刑事?! なんで、なんで?」

木島は戸惑いを隠せなかった。 

 

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