どれくらいの数のネジの深さを測っていただろうか。作業に集中する木島に後ろから声が掛かった。「新人君、頑張ってるね」。振り返った木島は相手を見て思わず顔を赤らめた。木島に話しかけたのは白鳥麗花。クールな美貌と抜群のスタイルにも関わらず仕事が滅法出来る若手の憧れの先輩だ。「しっ、白鳥さん、お疲れ様です!」。木島はどもりながら答えた。「あんまり気合いれてやってると夕方までもたないよ」麗花は木島の肩をポンと叩きながら言った。「そういえば今日の夜って空いてる?新人君の歓迎会を若手の有志で開こうと思ってるんだけど、大丈夫?」「もっ、もちろんです。白鳥さんからお誘い頂けるならどんな予定だって全部キャンセルします!」「もう、大袈裟だなあ、じゃあ今日宜しくね」麗花は笑いながら木島の席から離れた。「やった、憧れの白鳥さんとたくさん喋ってしまった。歓迎会で隣に座れたりしないかなー」ニヤける木島の顔に紙屑が投げつけられる。「おい、木島、何ニヤニヤしてんだよ。ちゃんと業務に集中しろよ!」樫田からの叱責を受け、木島は慌てて手元のネジに再度注意を向けた。