塔は、ジロリアンの神髄として、完食出来なかった悔しさと、掴まれた腕の痛みに、腹が立った、でも、どこかに残念さも残った。

 『木島さん、見た目タイプなのにぃ』そう思いつつも、その場を後にした。
 
置き去りにされた木島は、はっと 我に返り、入江の後を追いかけながら、「いや、絶対肉まんには、ソースだって、ソースだよ」と、まだ、独り呟きながら、入江を探した。
 
高層ビルの入り口に、吸い込まれて行く彼女の後ろ姿を見つけ、『え、まさか 同じビル?? 同じ 会社?? な、訳ないよな?』 
 
『入江さーーーん、入江さーーん。』 塔には、聞こえていたが、あえて無視した。
  
 
席に戻り仕事を始めようとしたところ、先輩の山谷がネジ測定リポートを持ってきた。
 
『おい、お前どないした?浮かない顔して』
 
「山谷さん、肉まんには、ソースですよね、醤油じゃなくて、ソースですよね?」 
 
山谷は、答えた。
 
さ