「木島さん、いやヒロでいい? ね! ね!」

どう見ても28歳には見えないネリが目をトロンとさせて、身体をくねくねさせながら木島との距離感をジリジリと詰め始めた。

木島は積極的な女性が嫌いではない。そうあの銀座の子もそうだった。手を引かれて銀座のビルに昇った夜・・・ あー下着をあの踊り場に脱ぎっぱなしだったなぁ・・・あの下着は誰が拾った・・・・ 

 

  ウエル蟹バーック

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その時である!カヤカヤでチョルンチョルンを急ピッチで呑みすぎ、更に茹で上がって赤味を増した味噌蟹部長が軽いナップからいきなり復活してきたのだった。
「ねぇねぇ、それ何の遊び?? 俺も入れてよ ナニ?ナニ?」

若い頃は小平のハブと恐れられていたように、こうなると味噌蟹部長は結構しつこい。

これからネリを仕留めるために何とか部長を切り離さねば・・・そ、そうだ!! あの技があったんだ!

「それじゃ部長! 今若者の間で再流行してるアレやりましょう」

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「お! ”シッペ”かぁ~、懐かしいなぁ やろ! やろ!」

実はこの味噌蟹部長。大学時代はハンドボール部エースとして活躍し、腕の振りにはかなりの自信を持っていたのだった。

木島が言った。「といっても、今流行っているのは”オトナのシッペ”というゲームです。女性にシッペをして、より良い反応をさせたほうが勝ち、というゲームなんですよね。では、年功序列ということで部長の先攻でお願いします!」

シッペをして、良い反応・・・・ 味噌蟹はわからなくなった・・・ その矛盾するものをどうやって両立すればいいのか・・・考えろぉ~、考えろぉ~、味噌蟹考えろぉ~

その時!

 

f:id:novelking:20200426052727j:plain ブクブクぅ~

脳をフル回転で使いすぎた味噌蟹部長がいきなり口から泡を吐き始めた。こうなると味噌蟹部長は強い。

「負けねぇぞぉ~。おらぁ~!」

いきなりネリの陥没気味の胸の突起目がけて、渾身のシッペを放った。この技は、右手中指の第一関節と突起の距離感をミリ単位で調整する必要があるD難易度の大技だ。

世界しっぺ協会でこの技は「ミソガニ」として認知されており、ロシアの奥地などでもしっぺ技の一つとしてこの「ミソガニ」は浸透している。

「蟹ちゃん いたぁいー」

チョルンチョルンの酔いが味噌蟹の距離感をわずかに狂わせたのだった・・・

「さ、僕の番ですね」木島はYシャツの腕をまくった。

ここで木島の昔を語っておかなければいけない。例の銀座の女性だ。木島はアノ最中に何度もその尻を叩かされた。それも2-3度ではない。合計すれば万単位になっているかもしれない。叩きこみ過ぎて春の宮崎キャンプでは故障リスト入り、医者には左手首の重度の腱鞘炎と診断され、発覚直後にすぐに渡米、トミー・ジョン手術を受けてようやく完治に至った。梅雨の時期には今でも左手首にサポーターは欠かせない。

「それじゃ ねりちゃん。おしり貸してくれる?」

「ちょっとぉ~ 私、人生経験は豊富だけど、おしりの経験はないんだけどぉ! でもヒロとだったらちょっといいか・・・・」 ねりは得意の早とちりをここでかました。しかもジャンボ鶴田のヘソで投げるバックドロップ並の大技。

「違うって! シッペだって」そういわれハタと気付いたネリは顔を赤らめながら

「いいかげんにしてよね! 言いつけるよ!」誰に言いつけるのか全くわからないのだが、そう怒りながらもお尻をチョンと出すのだった。

「ぱちーん!!」

木島の腕がしなるのと同時に快い響きがビーチに響きわたった。

「あっはーん」

ねりの桃色吐息が漏れた。ネリは目をとろーんとさせながら下半身にうずきを覚えるのだった。こうなると勝負は明白だ・・・と皆が感じ終わるかどうかと同時に

蟹ハセヨー

切り替えの早い味噌蟹部長は身をひるがえし、ウニちゃんのもとに向かうのであった。

宴は6回の裏が終了し、更に終盤戦に向かうのであった。