どれくらいの数のネジの深さを測っていただろうか。作業に集中する木島に後ろから声が掛かった。「新人君、頑張ってるね」。振り返った木島は相手を見て思わず顔を赤らめた。木島に話しかけたのは白鳥麗花。クールな美貌と抜群のスタイルにも関わらず仕事が…

同じ週の金曜日、例の関西人の山谷が、頭数が一人足らないらしく、歓迎会を兼ねて合コンに行こうと誘ってきた。木島には社会人になって最初の合コンだった。場所は丸の内に最近できた『カヤカヤ』という韓国料理やだった。理由は山谷は韓国料理とマッコリが…

「でかっ」。それが彼女の第一印象だった。その時は彼女が今後の木島の人生を大きく変える事になるとは思いもしなかった。 「しかし、さすが外資だな。新入社員の初日に誰も昼飯に連れて行ってくれないのか…」。木島は午後のネジ測定を思い一瞬、憂鬱な気持…

木島は、広い11階のフロアーをざっと見渡した。朝9時前にもかかわらず、電話の音と、パソコンを叩く音が、心地よいBGMのように感じとれた。 おいっ、木島! 呼ばれた声の方向に顔をやると、先輩の樫田宅が立っていた。お前は、今日、とりあえず最低500個 ネ…

「今日からここで働くのか」木島比呂也は大手町駅を降りて5分ほどの高層ビルの前で立ち止まった。そのビルに入居するのは“マイク&ブシ”。マイク&ブシというのはアメリカ発祥の総合商社で、General Electric社と同じぐらいの歴史持っている世界でも有数の…